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  • 2010.06.01 Tuesday
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消えゆく戦後…旧海軍整備工場が70年の歴史に幕(産経新聞)

 房総と鎌倉、江戸を結ぶ港町として古くから栄えてきた千葉県木更津市には、陸海空の3自衛隊が居を構える。今では航空自衛隊第1補給処となった基地で、旧海軍時代の面影を伝えてきた整備工場が、老朽化のため姿を消そうとしている。(石井那納子)

 まるでノコギリの刃のように、三角形のトタン屋根が連なる特徴的な外観を持つ工場は広さ約7千平方メートル、実にテニスコート27面分に匹敵する。平成19年に新しい工場ができて以降は、主に事務作業を行うために使われてきた。

 だが、昨年10月、新しい第2庁舎が落成したことで、事務所としての役割も終えた。

 渉外班長の染野昭智三等空佐(45)の案内で工場内に入った。

 がらんとした工場内部に降り注ぐ日の光は、どこか哀愁を帯びる。太い鉄筋で組み立てられた天井を見上げると、不思議な形に思われた屋根にはガラス窓がはめられ、明かり取りになっていることがわかる。

 照明設備が発達していなかった時代、日の光を頼りに作業をしていた人々の姿が思い起こされた。

 同基地は「航空」の名前を冠するが、補給部隊のため航空機の配備はない。その基地内にこれほど大規模な整備工場が存在するのは、この地に大日本帝国海軍航空隊が置かれていたことに由来する。

 首都防衛を目的に、同隊が設置されたのは昭和11年のこと。同16年には、第2海軍航空廠(しょう)の本工場が設置された。激しい大戦を経て、航空隊跡地は陸自駐屯地、海自補給処の各施設となり、第2航空廠は空自補給処となった。

 「曇った窓が見えませんか。あれは墨を塗った跡ですよ」

 同補給処施設課の斉藤芳浩防衛技官(44)が指さす天井付近に目をこらしてみると、ガラスの所々に青白い曇りがあることに気づく。

 「大戦期、夜間の敵機来襲に備えた灯火管制のために、工場では窓に墨を塗って作業をしていたそうです」と説明してくれた。

 旧海軍時代には戦闘機組立工場として役目を果たし、「零戦」の略称でも知られた海軍の主力戦闘機の整備もおこなっていたという。

 この工場で組みあがった戦闘機は、海自補給処につながる道路を通り、滑走路まで運ばれた。4車線の道幅の広さがその名残を今に伝える。

 20年ほど前には、隊内にも戦争経験者がおり、こうしたエピソードを感慨深げに話す人が多かったのだという。

 戦禍をこうむることなく、70年近くにわたって激動の時代を見つめてきた整備工場の歴史が閉じる。

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